各部の名称と解説
①ティップセクション
穂先のことで、②のベリーセクションよりも前方の部分を指します。
感度やルアーの操作性に影響が大きく、硬く張りが強くなると高感度で操作性がクイックになる反面、魚が違和感を感じ易くなり「食わせ」性能が犠牲になる、と言われています。
②ベリーセクション
ロッドの曲がり(ベントカーブ)の頂点付近を指し、キャスティングやフッキングパワー、魚とのやりとりなどに影響が大きい部分です。
ベリーが硬く、強いとルアーを打ち出す力が強くなり遠投性能、フッキングパワーが高くなる反面、④のブランクやラインへのストレス(負荷)は増えることになります。
③バットセクション
負荷に対する限界強度に影響し、硬く肉厚な方が強く踏ん張りが効く一方、ロッド重量が増加する要因になり、操作性や感度が犠牲になったり、持ち疲れの要因になる場合もあります。
④ブランク
ロッドの本体にあたる部分で、カーボン(グラファイト)やグラス素材で作られているのが一般的です。
※素材の詳細については後述参照
硬く強い素材で薄く仕上げる事により、軽くて高パワー・高感度になる、と言われていますが、薄肉で粘りが犠牲になる事から直径方向への衝撃に弱く、ロッドが暴れ易くなります。
逆に、しなやかで肉厚に仕上げれば衝撃吸収力が高く高強度になりますが、重たく鈍いロッドになってしまうので、双方のバランスを如何に上手くまとめるか?でロッドの性格は大きく変ってくる、と言えると思います。
⑤ガイドリング
ラインを通す輪っかで、現在の国産ロッドの多くが
sicと呼ばれるガイドを採用しています。
また、ガイドのフレーム素材がステンレスかチタンかで種類の違いがあり、一般的に軽く操作性や感度を優先する場合はチタンを、チタンに比べると重くはなるが、柔らかく衝撃に強いステンレス素材を強度優先なモデルに採用する傾向にあるようです。
また、フレームの足が一方向<一本>の物を「
シングルフット」、前後方向に<二本>で固定されている物を「
ダブルフット」、また、フットとブランクの間に予めスレッドを巻き、二重に巻いて固定された物は「
ダブルラップ」と呼ばれます。
その他にもリールに近いバット側のガイドから、ティップ(先端)に行くにしたがって180°向きが変わる様、螺旋状に配置された物を「
スパイラルガイド」と呼び、抵抗が一方に掛かる事でスプールへの巻き取りが片寄ってしまい易い等のデメリットがある反面、ブランクが急激な負荷方向の反転によってねじれ難くなり、負荷分散や吸収力に優れる、と言われています。
⑥リールシート
単にリールを固定するだけでなく、パーミングした際のホールド感や、ロッドの捌き易さなど触感に直接関わる部分なので、上級者ほどこだわりが強い部分でもあるように思います。
完全にブランク(もしくはグリップパイプ)を覆って結節強度に優れるタイプや、トリガー前部を一部くり抜く事で直接指などがブランクに触れられる様にし感度を高めているもの、また、グリップする形状に併せて凹凸を付ける事でホールド感を高めているモノなど、メーカー毎で特徴があります。
その反面、統一された規格が無いため、構造上、特定のメーカーのリールとロッドが加工なしでは装着できないことも稀に起こります。
ロッド選択の際には、パーミングのし易さにくわえ、装着ようと考えているリールが問題なく付くのか確認を取っておきましょう。
⑦グリップ
主だった素材からEVAと呼ばれるスポンジタイプとコルクタイプのもの、また、メイングリップが上下二分割になっている構造のものを「
セパレートグリップ」、一本構造のものを「
ストレートグリップ」と、呼び分けられます。
一般的に柔軟で手にフィットし易く、濡れた状態でも滑りにくいのがEVA、見た目の高級感やドライで乾いたフィールにより感度が良いとされているのがコルクだと言われています。
ロッドのテーパー(アクション)とパワー
ロッドのテーパーは「曲がり方」を表し、8:2前後の先寄り(ティップ寄り)で曲がるものを
ファスト(F)、6:4付近で曲がるものを
レギュラー(R)、5:5より胴側(バット側)で曲がるものを
スロー(S)と表記するのが一般的です。
テーパーがファスト寄りになると高パワーになり、ベント(曲がり)幅が狭くなることでルアーの操作性がクイックになりますが、急激な負荷に対する対応性が悪くなるので、ラインに掛かる負担の増大、キャスト時に担げるルアーのウェイト幅が狭くなるなどのマイナス要因も。
反面、テーパーがスロー寄りになる事でパワーの出方が緩やかになり、急激な負荷への対応幅は広くなるものの、ルアーの操作性は犠牲になり易くなる傾向にあります。
しかし、ロッドの製造技術が向上したことで、各セクションの役割を明確化し、特定のスタイルに特化したテーパーを持つロッドも増えてきました。
以前からもあった、特に急激なパワーが出るように設定された
フリッピングロッドなどに多く見られる
マグナムテーパーと呼ばれるものや、
可変テーパーと呼ばれる負荷の度合いの差異によってベントが変わる
ファストレギュラーなど、汎用性を捨てて割り切ったものから究極の汎用性を追及したものなど、より複雑に細分化されてきている側面がロッド選びを、より難しくしている一要因なのかもしれません。
また、ロッドの表記には
Mとか
H、
XHなどといったパワーを示す表記があり、
UL(ウルトラライト)→L(ライト)→ML(ミディアムライト)→M(ミディアム)→MH(ミディアムヘビー)→H(ヘビー)→XH(エクストラヘビー)の順に硬くなります。
※メーカーによっては数字で表される場合もあるので注意
が、個々のメーカーやシリーズによって統一された規格がないため、あくまでもルアーの操作感を中心とした目安程度でしかなく、実際に大物を掛けた時の高い負荷に対自出来るパワーとは差異がある場合も少なくありません。
全てのロッドに当てはまる訳ではないですが、高パワーだと評価されるロッドの多くが肉厚なバットブランクを持ち、その為ある程度の重量感がある場合が多く、逆に考えれば極端に軽さを売りにしている物は、バットの踏ん張り限界があまり高くない、と、考えておくのが良いかもしれません。
ロッドの素材と製法
現在製造されているブラックバス用のルアーロッドの多くが、カーボン(グラファイト)かグラス素材で作られており、特に軽量で強いカーボン素材が主流になっています。
しかし、一口にカーボンといっても弾性の違いで低弾性→中弾性→高弾性→超高弾性などがあり、用途に合わせて使い分けられていたり、複合的に組合わせて作られていたり、と様々。
特に異なる弾性のものを複合的に組み合わせられたロッドは、しなやかさとパワーを高いバランスで併せ持っているだけでなく、パワーロスが少なく軽量化も図れる、と、性能的なメリットを多く持つ点が特徴で、多くのトップメーカーがフラッグシップモデルとして採用する傾向にあるようです。
しかし、製造コストが嵩んでしまう所や、製造不良に対してシビアな点など、まだまだメーカーにとって解決していかなければならない問題点も多いのかもしれません。
その他にもカーボン素材に半金属である
ボロンを混ぜ硬度を増した
ボロンロッドや、極細のチタンワイヤーを加えて剛性を高めた
チタンシャフトなど、現在では主流とは言えませんが、一部で試行錯誤されているものもあります。
1ピースと2ピース(もしくはパックロッド)
一昔前までは1ピース(継ぎの無い一本構造)の物の方が、パワー、感度、耐久性など、ほとんどの面において複数継ぎ(2本継ぎのものは2ピース、それ以上のものはパックロッド、とか、マルチピース等と呼ばれる)より良い、と言われていましたが、現在においては、その差が明確に体感できるほどでは無くなっています。
確かに継ぎ部へ大きな負荷が掛かった場合、1ピースと比べると・・・・・と、いった部分はありますが、1ピースでも急激な負荷(衝撃負荷)が掛かった場合、強度のムラがある部分に負荷が集中し、破損し易くなる事に変わりが無いので、結局あまり大きな差は無い、と言えるかと思われます。
逆に2ピースロッドのメリットとして、持ち運び時にコンパクトになることや、もし破損した場合、2ピースであればどちらか片側のみの交換で済むので、一本構造モノと比べて価格が安くなる場合が多い事など、2ピースだからこそのメリットもあると思います。
とはいえ、まだまだ1ピースが中心のバスロッドにおいては、選択肢の数に随分と差があるのが現実ですが、最近は7ftを越えるロングロッドが流行りつつある事で、グリップジョイントなども含め、2ピースや複数継ぎなラインナップが充実してくるのかもしれません。
ロングロッドのメリット/デメリット
一昔前までは6.6ftといえばロングロッドでしたが、今や6.6ftどころか、7ftオーバー、さらには8ftクラスのものまで見かけるようになってきた昨今、気付けば何時の間にか基本が6.6ft、陸っぱり(岸釣り)なら7ftあっても良い・・・・・とか言われる店員さんもおられたり。ヾ(´▽`;)ゝ
長尺であることのメリットといえば、足場の高い位置からの釣りで使い易いこと、前方の障害物を越えてルアーを送り込みやすい事(フリップゲーム時など)、クランキングゲーム(巻物)などにおいてコースの選択幅が広がる事、フッキングストロークを大きく取れる事、などなど。
しかし、それ以上に長尺竿を勧める場面で良く耳にするのが「
長い方が飛ぶから」というモノ。
確かに長い竿の方が
より大きな遠心力でブランクに力を貯められるでしょうが、長くなれば振り抜く時の抵抗も大きくなるんですよね。
また、ロッドの長さ表記はそのほとんどがグリップを含めた全長なので、よく見比べないと実際には延長分の大半がグリップだった・・・・・といった事も。
さらに、ロッドが長尺になればブランクのブレなどによるパワーロスも考えないといけません。
と、なると、キャスティングだけを考えた場合、キャスト時の抵抗に負けずに振り切れる長さ(ブランク長)で、パワーロスの少ない高反発力なロッド、となると思います。
ブランク長とグリップ長は、メーカーのカタログや店頭などで確認できますが、ブランクのブレは実際に使ってみないと中々解らない所。(´・ω・`)
そこで、実際に店頭でロッドを手にしてグリップエンドを叩いてみて(力を入れ過ぎないように)、ブランクの振動幅や収まり具合を見比べてみてください。
あくまで目安程度にしかならないのですが、やはりブランクのパワーロスが少ないロッドは振動の収縮が早く、ベリーからバットにかけての収束が早い物が多い様に思います。
ただし、ロッドに付いている商品タグや管理用のセンサー(?)などに、くれぐれも注意してください。
購入するロッドを考える
まだ自身の釣りのスタイルが明確でないうちは、細かいメソッドやりグに先行されず、現在の自分の釣りにおいて「何が足りない」のか、「どこを補いたい」のか、といったトコロを明確にした上で、まずはロッドの最も基本となる部分から考えていくのが良いのではないか?と、思います。
最も基本的な部分とは、投げて・巻いて・掛けて・寄せて・キャッチする、という点です。
この基本的な部分は、やはりブランク自体を製造しているメーカーがリリースしている、中堅クラスのシリーズが良く出来ていると思います。
特に、1万~3万ぐらいのモデルは、まず魚を獲る事が大前提に+αで様々なメソッドに対応する味付けがされているものが多く、極端なクセが少ないので使い手に偏った要求をしません。
そのため、後々に特定のリグやメソッドに偏ったスタイルの必要性が出てきた場合、何が足りないのか、自分の必要とする所は何処なのか?が明確になり易く、次の一本の選択時の基礎にもなり易いのではないか?と思われるのです。
もっとも、趣味としての観点から、ブランドデザインや応援するプロスタッフのプロデュース製品だから、といった部分からセレクトする方法も一概に「間違い」だとは言えませんが、やはりロッドも「道具」である以上、ある程度の性能(?)を見定められる様になってから趣味色の強いセレクトに移行されても良いのではないでしょうか。
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